最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)386 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
被告人及び弁護人横地秋二の上告趣意は後記のとおりである。
被告人の上告趣意について。
論旨は、量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
弁護人横地秋二の上告趣意第一点乃至第三点について。
論旨は、いずれも原判決が大審院又は当裁判所の判例に違反することを主張する
のであるが、控訴趣意はたゞ量刑不当を主張しただけであるから、所論の点は原判
決の判断を経ていない事項である。従つて適法な上告理由とならない。のみならず
(一)論旨第一点引用の判例は、郵便物を開披して在中の小為替証書を取出した事
実を窃盗としたものであり、本件は郵便物そのものを全部領得したものであるから
右判例は本件に適切でない。(二)論旨第二点及び第三点は、本件郵便物につき被
告人の占有のほか郵便局長にも占有があることを前提として判例違反を主張するの
であるが、原判決の是認した第一審判決は、被告人の占有を認定したのみで郵便局
長の占有は認定していないのであるから、所論は判示にそわない事実を前提とする
主張である。従つて所論の判例は本件の場合に適切でない。
同第四点について。
論旨は、憲法三六条違反を主張するが、その実質は単なる量刑不当の主張にすぎ
ないので採用できない。
また記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて刑訴四〇八条、一八一条により主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見である。
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昭和二九年六月二二日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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